2014年5月24日土曜日

残雪八ヶ岳ハイク




10ヶ月ぶりのテン泊装備を背負って、僕はあずさ2号の座席に身を沈めた。山に向うためだ。38リットルのザックにはすべてが入り切らず、アイゼンはリッジレストに巻き込んで外付け、バゲットと長葱はストックホルダに挿してある。



前に違うところで書いたけれど、あずさ2号は信濃路へ走るのではなく信州松本から東京へ向う。そういえば、10ヶ月前にテン泊装備を背負って乗ったのもあずさ2号だった。あの時は、広河原から北沢峠に向ったのだった。

わずかな時が移り、まだ朝早い茅野駅に着く。小走りに麦草峠行きのバス乗り場へ移動する。途中の通路にはクライマーたちが眠っている。乗り込んだバスのディーゼルエンジンの唸りを聴いて、理由もなく「俺は旅してる!」と叫びたくなる。バスの車窓には田園風景が広がり、やがて別荘地をどんどんのぼり、ついには僕はひかり眩しい麦草峠に降り立った。



歩けるのだ。

この10ヶ月の間。あまり山に出かけることはできなかった。せいぜい半日、裏山のあたりで歩いたり雪に潜ったりが精一杯。それだけに、今回の山旅はこころの底から楽しみにしていた。天幕を担ぐ、というのは特別なことで、山に眠ることを許されていること。今日と明日が山で眠ることでつながっている、至福の経験なのだ。


僕は北八ヶ岳の麦草峠から南へと歩く計画を立てていた。オーレンの小屋で仲間たちと合流し、再会の祝杯を掲げる。そして語らい尽くしてまた日常に戻る。そうすれば再び逢うまでの日々を、山を想って暮らしていける。



白駒池はまだ氷結したまま雪を載せていた。



森の中を、黙って歩く。北アルプスとも南とも違う八ヶ岳の森。ここを歩くのはたぶん20年ぶりぐらいだろうか。



これを見に来た。




にう(にゅう)の三角点。正式には【三等三角点 乳岩】。遠く、僕の市内の山が見えている。霞沢岳、穂高の岩峰からキレット、槍。蓼科山の隣にははるか立山。




近づいて来た天狗岳を眺めながら、僕は何度もため息をついた。背中の食材の重みが、次第に苦しくなって来たのだ。思えば、肉と餅と酒だけで3キロ近くある。総重量では15キロもないだろうけど、しばらくぶりのテント泊(しかも2泊)の装備が肩に喰い込む。


ぐぬぬぬぬぬ。これではオーレンまで辿り着けない。天狗越えができない。


やむなく、本当にやむなく、僕は黒百合ヒュッテの扉を開け、感じのいいスタッフにテン場使用を請うた。雪をならして幕を張り、外に寝そべって酒を流し込む。


一眠りしてからヒュッテ前のあの丘に上がって景色を楽しんでいたら、途中で何度か会話を交わした山ガールさんがやって来た。


滑ったり、転んだり、ごろごろしたり。素敵なガールさん、いつかまた、どこかのお山で!


ガールさんとの雪遊びを切り上げ、そうだ、明日に合流する仲間たちの為に黒百合に居ることを伝えておこう。そう考えて僕は中山峠に向った。電波をキャッチする為だ。


「俺は根石岳のてっぺんに居るのだが、imalpの野郎はまだ来ねぇのかごるぁ」という、畏れ多くも師匠のメッセージを拾ってしまった。

し、師匠のご到着は明日では.... 完全に狼狽してしまった僕は、もうパニックに陥っていた。師匠を待たせたまま、黒百合で山ガールさんと雪遊びしてたなんて、死んでも言えない。



僕は師匠のこのメッセージを見なかったことにしてテントに戻った。そして知らぬ顔の半兵衛を決め込んで、昼寝することにしたのだ。






「いーまさぁーん」

誰か、僕を呼んでいる。まさか師匠が待ち切れずに迎えに来たか。しかし声が違う。


げぇええ。信じられん。

僕のエスパースに近づいて来たのは、Team R.O.Dの夜明けのランブラー先生と、ULガレージメーカーWanderlust Equipment先生。有り得ねえ。これは幻か飲み過ぎか。


「よぉいまさん、久しぶりだww」

うがががががが。Wanderlust Equipment先生とは、3年半ぶり。ランブラー先生とも同じくらいのご無沙汰。



「いのうえさんも、その辺に」

うわ。心臓がぶぶぶぶっと音を立てて胸郭の中を上昇してくる。放置民先生まで? このままでは心臓は口から飛び出てしまう。そんな錯乱状態で旧交を温め再会を祝い、山とランと道具を語り、人生を語って夜は更けていった。



し、しかし。僕が黒百合に居るかもしれない、という不確かな状況で中央道をひた走り、ここまで登って来てくれるとは.... 三人とも、ピークを踏むためにここへ来られたのではない。いくたびか絶句し、感動を胸に僕は眠りに就いた。風が出てきてテントを揺らす。ポールが軋む。でもそんなこと屁でもないぐらい、僕はしあわせだった。




翌朝。
お三方に別れを告げる。次回、会えるのは何時? その思いがよぎる。再会できた悦びと別れの寂寥と、そしていつかまた会えるという期待と、複雑にない交ぜになった気持ちで僕は南へ向った。大分軽くなった荷を背中に。



黒百合から天狗の登りでは、僕は風に叩かれていた。凄い風だ。あっちこっちで遭難事故が起きた天候と知ったのは後のこと。



ぐがぁっ! ふんまあぁっ! バリゴの高度計で気圧表示モードにしていたのだが、下がる下がる、高度によるものではなく、ゆっくりとうねりのように気圧が下がっている。何度も風に突き飛ばされながら東天狗を超え根石岳の山頂を踏み、箕冠山の南の樹林帯をオーレンの小屋まで降りる。




オーレン小屋のテン場では、仲間たちが待ってくれていた。師匠は昨日から幕営、今朝着いたメンバーは、夜明け前に桜平を出たとのこと。いまにも降り出しそうな空の下、僕の到着を待たずに酒を呷っていたようだ。これぞ我らが幕営団、なぜ山に向うのか、そこに酒があるからだ。


きまっつぁん、再会が叶いました! 









師匠、昨日は申し訳ないことでした。師匠と山ガールさんと、悩んだんです。

お嬢、お世話になりました。また酌み交わせる日まで!


 
雨が降り始める。全員がシェルのフードを被っている。担いで来た食材を焼きながら、あるいは温めながら、飲む。雨が霙から雪に変わってもなお、マグにフタをしながら飲み続けている。これぞ幕営団。


しかし本降りとなって宴はお開き。お昼寝タイム。


フライを叩き続けていた雨音が止む。ガスが渦巻くも明るさは残っている。中断した語らいを続けよう。



山のこと。下界のこと。そして未来のこと。話題は尽きない。しかし、何を好き好んで雪の上にケツを据え、氷点下の空気の中で指先を冷やしながら人生を語り合う必要があるのか。温泉宿で浴衣にくつろぎ、座敷に御膳を並べても良いではないか。

いや違う。僕たちは望んでここへ来た。山に来れば、おのれの歩幅分と歩数の掛け合わせしか移動できない。おのれの背中で担いだ分しか飲み食いできない。だから、おのれが何者かを理解することができる。おのれにできることが何か、推し量ることができる。

下界で暮らす僕たちは、常に自己否定をしている。時間が無い、休みが無い、お金が無い、余裕が無い、気が付かない、届かない、見えない聞こえない感じない。そうやって無い無いとネガティブな経験を重ねて生きている。

けれど一転、山に入ると僕は肯定される。山は、おのれが何者でも無いのではなく、何者であるかを突きつけてくれるからだ。そう、おのれが何者だったかを思い出させてくれるのだ。




僕が山に入って三日目の朝を迎えた。
渋滞を避ける為に帰路を急ぐメンバーと別れ、オーレンの小屋を後にする。チャイさん過去二回、硫黄岳に向うも断念するという黒歴史があり、今回はなんとしても硫黄のてっぺんを踏んでみたいとのこと。


夏沢峠の風は強いが前日に較べたら頬を撫でるそよ風のようだ。













雪の斜面を這い登り、ケルンをいくつか数えたらだだっ広い山頂。正面には南八ヶ岳の峰々と南アルプスが聳立していた。チャイさんよかったね。





桜平へと降りる途中、チャイさんが松本まで送ってくれるという。厚意に甘えて中央道から長野道へ。



松本インターで降りたら街中でトンカツを味わい、我が家で珈琲を差し上げての休息後、見送る。チャイさんのジムニーが角を曲がって見えなくなったとき、今回の山旅も終わってしまったんだと、すこし切なくなった。





山の神さまありがとう。みなさんにも、ありがとう。

 



2014年5月10日土曜日

飯は山靴の傍らで

テントの前室で道具を広げながら、なにを食べようかと考える。食糧計画は組み立ててあるものの、食材、味付けを入れ替えたりはする。そうだ、スープパスタだけどトマト味じゃなくてコンソメにしよう。そう決めてストーブの脚を広げる。

僕はこのところPRIMUSのスパイダーばかり使ってる。雪の上では、百均のシリコンマットに載せる。これは表面が格子状になっていて、雪の上でまったく滑らない。スパイダーでない時はトランギアか「さんぽストーブ」というアルコールストーブなんだけど、そのことはまた書こう。

とにかく、山のテン場で朝ご飯の支度をしている一枚のカットを帰って眺めていたら、ストーブの傍らに山靴があることに気付いた。いや、山靴の存在は認識していたけれど、いま初めて気になった。



下界では有り得ないことだ。キッチンの調理台に、靴を置いたりするかい?













そういえば、飯を作る前に、まだシュラフにくるまって液晶画面をタップしながら天気予報を見ていた。電波は微弱ながら届くテン場なのだ。その時の僕はこの山靴を枕にしていた。少し高さが欲しかったので、頭の横に揃えていた片方の靴を寝かして、枕代わりに。あなたは自分のベッドの上に靴を置く? 

山では不思議なことが起きるものだ。




僕は今日、この連休に出かけた山で、僕が食べた山ごはんのことを書こうと思っていた。先日、こんな食材を担いで出かけようかな、的なことを書いたからだ。そのこともあって、山の中で食べたものを、いくつか写真には撮っておいた。僕の備忘録にもなるから。



パウチされた鶏肉レモンバジルのソテーを湯煎で温め、クノールのスープパスタ、バゲットにクリームチーズ。足りないのはブルゴーニュのルモワスネ1985ぐらいだ。


  


ほら。自家製醤油麹に一週間漬込んだ地鶏のささ身のソテー焦がし醤油味、安曇野産葱の炙り焼き添え。廣田泉の特別純米酒とマリアージュしたい味わいだ。



こうやって、僕自身の体験でしかない「山の味わい」を記録してご紹介することで、あなたご自身の予感や期待に変えることができるかもしれない。僕にはこんな確信があった。


でもしかし。あとで写真を眺めていたら、困ったことになったのだ。
また山靴が写ってる。このクッカーの中で温められているのは、和風だしで鶏のテリヤキと長葱、餅をさっと炊き、味噌仕立てにしたもの。言葉にできないぐらい、やさしく、あたたかく、冷えた身体を癒してくれたものだ。


二枚目の写真には僕の靴下が写ってしまっている。モンベルのメリノウールのアルパインソックスとかいうやつだ。


せっかくの味わいをご紹介しようと考えていたのに、山靴や靴下が写っていては話にならない。料理のビジュアルから五感をインスパイアさせて、という企てに、山靴や靴下は不必要のものだ。むしろ排除しなければならないものだ。それなのに何故!



昼寝してる時に、テントの中を撮った写真があった。

食材が入ったポーチの上に、山靴が置かれてるじゃないか! この山靴は、ハンワグ社の『スーパーフリクション』っていう最高のブーツさ。僕の宝物だ。とはいえ、食べ物の上にブーツを置くなんてどうかしている。



山の一夜。僕が或るテント場に居るかもしれない、という不確かな情報にもかかわらず、友が会いに来てくれた。この奇跡的な再会についてはまた次回に書こうと思っている。今回はこのことについて書かせてくれ。山靴だ。ブーツだ。

信じられないサプライズだった夜のディナー、やっぱりブーツが写ってる。



翌朝、僕は友に別れを告げて、山をふたつ三つ越えて、別なテン場に幕を張った。そこには別な仲間たちが迎えてくれて、山談義を肴に味わいを交換し合った。グリーンカレー、レバーのペースト、合鴨ロースの燻製、エトセトラ。


そしてそこにも、山靴は写っていた。









2014年5月3日土曜日

にゅ

芋を植えることを忘れていて、四月に入ってから畑の掘り起こし、石灰、鶏糞と土を整えたのち、20日になってようやく植え付けを済ませる。連休前にこれをやっておかないと、真夏の芋祭りができなくなってしまうのだ。畑と言っても拙宅ボロ屋の庭の一部で、猫の額どころか鼠の掌ぐらいのものだ。戦時中にどこの庭も菜園になっていたように、僕のところもだ。

 



桜もすっかり散り、何度か雨が降りったり温かい日が続いた。さてそろそろ、と畝の様子を窺う。自室から眺めるとまだ何も起きてはいないようだったが....
 

五月二日。畝に規則的な地割れというか土のヒビを確認。うほ、土の下から芽が押し上げてる。
 


と喜んでいたら、翌五月三日には出てきた。今朝のことだ。出てきた出てきた。これが好きなのだ。芽がにゅう、って出て来る前の「にゅ」段階。まだ「う」が発音されていない感じ。

いやあ、実にいのちである。変なことばをタイプしてしまったが、土の下で二週間芽を養い伸ばしてくれてる。毎年のことではあるが、うれしいのだ。

芋の畝の間に植えた枝豆も....

これはまだにゅまで伸びていないので、にだな。

大豆が植えたカボチャは...
おっとややこしいから訂正。せがれの大豆10歳が担当の栗カボチャ。

 にゅですよ。


 

そうだ、僕専用のハーブ園を作ったのだ。ハーブ園というと聞こえが良いが、1mx2mぐらいの別区画。ネギを埋けておいたところへ、あらたに九条ネギと大葉、スイートバジルとルッコラを撒いておいた。
 


この九条ネギは僕の豚骨ライフの重要メンバーで、家で豚骨を食する時は「湯を沸かしながら青葱を摘む」という究極の葱道楽を叶えてくれる。豚骨ライフについてはあちこちに書き散らしてきたから再録はしないが、いや、近々また書こう。とにかく豚骨ラーメンを作法道理にいただく大切な行いのことだ。

土の表面に変化は? 


おぉ、にゅ。

出てきた出てきた。美味しい青葱に育ってくれと期待を混めて発芽を祝おう。

春のにゅ。いいなあ。萌えて萌えてたまらん。
そうだ明日は、にゅならぬにゅうに行ってこよう。テント担いで、山靴履いて。


2014年5月2日金曜日

小女子を。

小女子を、ね。

いいのが、めずらしく手に入った。ここらで普段手に入るのは、かりかりに干し上げたやつばかりだけど、これは生干し。

 



 しかもとっても安く。ほら。


うちにはね、悪魔の晩餐にも使えるような秘密の味わいがいくつもあって、みんな僕が密かに仕込んだものだなんだけれど。



 
 



これ。庭の山椒の実を生のまま醤油漬けにしたもの。二年前の初夏、生の実をたくさん収穫、使い道に困って漬けておいたやつを冷蔵庫の奥底から....


 


もちろん、山椒の香りまとった醤油も一緒に。こいつの守備範囲の広さは半端じゃない。冷や奴、玉子掛けごはん、肉や魚の下味付け、炒め物への投下、鯉を煮るとき、蒲焼きのタレなどなど。行者にんにく漬けに使用した「行者にんにく醤油」に匹敵する破壊力、じゃない守備力。

 

炊いて煮染めて、いわゆる佃煮みたく甘辛く仕上げるのだけれど、その手前でね、こんなあっさりと味わいをまとったところで、酒の肴に。

はふはふ、はふ。レンズが湯気で曇るぐらいのはふはふをつまみながら、ぐび、ぐびっと辛口の純米酒を。

 

その間にも、鍋は弱火で、もちろん落とし蓋をしてね、ほうら、だんだんと煮詰まってきた。もうすこし水気を飛ばし切ったら完成。タッパに移して一週間ぐらい愉しめる。
 

ひひひひ。小女子をね、うひひひ。



飯が捗って困る。安曇野コシヒカリか松本産コシヒカリなんだけど、減るの早過ぎ。毎週10kg入りを買ってるような気がするけど、気のせい?





2014年5月1日木曜日

小さな山旅のめし

二泊三日、テントを担いで八ヶ岳の真ん中あたりをうろつくにあたって、食糧計画を組み立ててみた。備忘録として書き残しておく。

本来であれば栄養学的なアプローチに加え、軽量化、水場という補給体制、さらにはゴミの容積といった要素を軽視できないが、僕的には「喰いたいものを喰う」こととゴミ減らしの為に「缶詰を諦める」の二点に絞り込んだ。ここに写っていないもので出発日の早朝に調達するものは別途記す。

また行動食は基本「大福餅のみ」として若干のおやつを加えるに留めた。

 

■Day1 

【あさめし】
あずさ2号に乗って松本>茅野間の移動中に食べるとしてここでは省く。
 

【ひるめし】
白駒池からにゅうのあたりに居る予定なので、どこかで景色でも眺めながら菓子パンでも齧る。菓子パンは当日朝に調達。
 

【ばんめし】
黒百合平かオーレンのテント場に居るだろう。夜の主食を「煮もち」と決めたので、生の白菜、ネギを携行し、クッカーで味噌仕立てまたは出し仕立てとしよう。味噌はランチに使ってる生味噌タイプの小袋を持ってく。おっと、カレー味も良さそうなのでカレー粉を忘れないように。そうだウインナーソーセージを投入すると旨味が増すから前の晩に買い足すこと。FDの豚汁が出てきたのでこれも餅用にしよう。おかずにはニッポンハムのパウチ商品「やわらかチキン」2種類を見つけた。


【行動食】
前述のように大福餅とする。



 

 

■Day2

【あさめし】
テント場で食べるとして、片付けを考慮してクッカー不要なめしにする。ならバゲットを一本持って行けばいいか、前の晩にスーパーのパン屋で。パスタ用のたらこソース、またはツナマヨを塗りたくって喰らおう。カップスープを忘れないこと(いま用意した)。

【ひるめし】
もうオーレン小屋まで降りてきてるだろうから、テント場でゆっくりいただこう。クノールの「スープDELI」と肉系のおかずを。軽く飲んで昼寝しておこう。夜が待ち遠しい。


【ばんめし】
仲間と合流しての質素な夕食を予定している。ソーセージやハムやベーコンや合鴨のロースのペッパー仕立てや、あんな肉やこんな肉を、まあそういうものでも齧りながら、ウイスキーのひと口ふた口。


【行動食】
大福餅だ。



■Day3

【あさめし】
山では不思議なことに二日酔いにならない。あ... むかし東北の以東岳から大鳥池に降りたとき、飲み過ぎて翌日停滞という記憶がある。とタイプしてまた思い出してしまった。飯豊には10回近く入山しているが、白状すれば二王子岳でも加治川の支流を遡行した時も梅花皮小屋でもどこでもかしこでも、朝は二日酔いだった。石転沢の尻セード競技で伝説的なスピードを誇ったのも、酒が残っていたからだ。とにかく飯豊の山に入ると二日酔いになる、これだけは間違いない。脱線しかけたが、八ヶ岳では二日酔いにならないと思うので、あさめしには前の晩の残り物を喰らう。

【ひるめし】
朝の散歩は硫黄岳だろう。その下りに夏沢峠でひるめしか。バゲットが少し残っているだろうから、粉末スープでこれをやっつけよう。湯は沸かしてテルモスに入れてくればいい。これで食糧をほとんど食いつくし、予備食として残しておいた棒ラーメン程度に減る筈だ。


【ばんめし】
温泉に浸かってゆっくり、というのは難しいかもしれない。連休最終日、日帰り浴場は激混みだ。くわえて関東方面の仲間たちは中央道の大渋滞が待っている。早々に山麓を離れることになりそうだ。なので晩飯は茅野駅か松本駅で立ち食い蕎麦だなこりゃ。

【行動食】
何度もタイプするが大福餅だ。



■ゴミの問題

パッケージの外装はすべて外しておく。パウチの切り取ってしまえる部分には容赦なくハサミを入れる。またチョコレートの中のトレイのようなものも置いて行く。こうすれば持ち運ぶゴミはかなり減らせるだろう。まあ担いでる僕自身がゴミ以下の存在だからそれほど減らないのかもしれないけれど。