2017年7月15日土曜日

夏のてっぺんへ。


仕事を終え、安曇野の田園に敷かれた鉄路に佇む。彼方には夏を迎えた常念さんが聳えている。

ちかごろ、仕事場へ通うのにカブに跨がるのを止めて、徒歩と電車の組み合わせにしているのだ。歩く時間を楽しみ、車窓の風景によろこび、ふらりと寄った酒場の会話に酔う、そんな日々である。




梅仕事はひと区切りがついてきた。前半の塩まぶし、漬け込みの部分が終わったのである。これは終盤のロットを仕込むところ。安売りの地物梅を買い込んできている。追い熟を終え、庭に出て梅を洗い、風に当てる。そして塩漬けにする。





梅の華やかな香りに誘われたのか、かわいい応援が来てくれた。





季節の目盛りが、またひとつ動いた。淡く兆していた信州の夏が、真ん中へ真ん中へと向かおうとしている。わたしは毎日、駅へと向かう道を変えてみる。3キロ以上の道のりがあるのだ。ある朝はせせらぎのほとりの小道を選んだ。





梅仕事も後半になれば、完成品の保管場所を確保しておかねばならぬ。納戸の掃除を始めると、棚の奥から梅干しのビンがいくつか出てきた。2014年の『豊後』の4L、もはやヴィンテージである。赤くホと書かれているのは、長期保存の意味である。





これも2014年の梅。表面に塩の結晶が析出している。ごくり。





たくさん作っておけば、なくなる心配をせずに梅干しを口にできる。外から帰ってきた坊主も娘も、真っ先にこの梅干しに手を伸ばす。うれしいことである。





今年の梅たちも、そろそろ干し始めよう。結局80kgを仕込んでしまったので、梅雨明けを待てぬのだ。少しずつでも天日に当てていこう。





本年のロット02、和歌山県産南高梅L玉6kg。20%の塩と群馬県産赤紫蘇漬けである。笊に明けると数時間で塩を吹いてくる。梅から梅干しに昇華していく過程を観察するのは、愉しいことである。





半日の天日干しで、陽に当たった側の葉緑素が分解されて、褐色の色合いに変じてくる。裏返すとほら、左側の梅たちには青っぽい感じが残っている。これをまんべんなく繰り返して仕上げていくのである。小学生の娘の、夏休みのお手伝いである。新しい水着というものには、義務も伴うことを、本人は既に学び終えている。




庭の梅の実を30粒ほど、もぎ取って冷凍しておいた。これに氷砂糖を詰め、冷蔵庫の奥深くに忍ばせておこう。きれいなシロップが採れたら、豆どもに飲ませてやる。


暑中、お見舞い申し上げます。


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