2015年6月27日土曜日

梅仕事2015、第一章


今年も、この季節が巡って来たのだ。

熟し梅を買い求め、塩にまぶし瓶(かめ)に漬け込み、真夏の太陽で灼く。これが数年前からの僕の愉しみである。ある年にこれを怠ったら、翌年の梅干が不足してつまらない思いをした。なんの、梅干など買ってくれば良い、という向きもあろうが、国産梅干の価格を想像すればぐぬぬとなるし、かといって支那産の物など食べたくもない。

こう書くと過剰に梅干が好きなのか? と誤解を受けるが、好きは好きでも普通に好きで、一日ひと粒を弁当に載せるだけである。週末の手料理に、たとえば鯵のたたきに青紫蘇と梅を添えて、というぐらいには使う。だから白状すると、食するのが愉しみなのではなくて、手作りするのが愉しみなのだ。昨年も引用したから再出になるが、水上勉さんのことばで  

 まことに、人は、梅干一つにも、人生の大切なものを抱きとって生きるのである。 

さらに、  

 世をたぶらかして死ぬだろう自分の、これからの短い生のことを考えると、せめて梅干ぐらいのこしておいたっていいではないか。 

これである。
すとんと心持ちの真ん中に落ちてくる言葉である。かくんかくんと、何度も頷いた後にもう一度「うむ。」と得心する。





前置きなど、どうでも良い。平成27年6月20日、梅5キロを購入。今年の初ロットは、群馬県産白加賀、等級記載の無いお徳用である。その証拠に1kgあたり198円。これを5kgだから千円に満たない。ここに手をかければ5kgの梅干が手に入る。費用対効果とかではなく、好きなだけ安心して食べられるという、こころの満足か。

冒頭の写真は、水洗いの様子。熟し具合に分けておき、まだ青いのは2時間ほど流水にさらす。黄色くなっているものはざっと汚れを流す程度。二枚目の写真は水洗い後。風に当てて乾かす。





粗塩は、750グラム。5キロだから塩分15%の梅干に仕上がる。いつもは20%、あるいは18%だから、すこし冒険である。何が冒険かというと、低塩分だと黴が発生しやすい。梅酢が上がるまでに時間を要するので、その間に梅の実に黴が付くのだ。これをやると大変で、昨年、少量だが失敗した。






さて、道具を揃える。真ん中のボウルの液はホワイトリカー35度。梅に竹串を丁寧に操って、へたを取る。その際に実にぶしっと刺さぬよう、細心の注意を払う。例年、娘の小豆が手伝ってくれるのだが、この日は遊びに行っている。なお、今年から、この場面でも老眼鏡を用いた。

へたを取ってホワイトリカーに浸ける。浸けて粗塩にまぶす。まぶして容器の底に並べていく。






丁寧に隙間無く並べる。体積が小さいほど短時間で梅酢に浸かる。黴から免れることが出来る。なお、傷がある梅の実は底の方に仕込む。最初に梅酢に浸かるからである。

(追記:昨年の南高梅の梅酢を保存してあったので、これを500ccほど借りて塩漬梅に注いでおいた。いわば呼び水ならぬ呼び梅酢で、これが功を奏して無事に梅酢を上げたのだろう。もちろん今年のロットから梅酢は回収し、来年用に保存しておく)




残りの塩を上に載せる。うがっ、こんなに! とお思いかもしれんが、これでも減塩15%なのである。この後、袋の口を緩く縛って埃の混入を防ぎ、重しをする。このロットの重しは、漬物用重し5kg、ダッジオーブン5kg、ペットボトルなど2kg。重すぎると梅が潰れ、切ない。軽すぎると梅酢が遅れ、黴が出てやるせない。






翌々日。6月22日夜、帰宅して確認すると、梅酢がしっかり上がって来ていた。これで半分は成功。この桶は次のロットのために空けておかねばならないので、瓶(びん)に移す。






6月27日現在、梅の実は梅酢の中に浸って梅雨明けを待つ。真夏の到来を静かに眠って待っている。土用の頃に瓶から出されて歓声を上げるだろう。だがしかし、無慈悲な灼熱の太陽に焼かれ炙り尽くされる運命も待ち受けていることを、未だ知らない。





2 件のコメント:

  1. 隊長、老眼鏡愛用者ですか!

    私は今年の免許更新時はなんとか裸眼でパスしましたが次回は危なそうです。
    細かい作業ができないのです、見えないのです......腕時計の電池交換とか
    ルーターとかの裏ラベルの文字が読めないとか。

    老眼鏡、欲しいんですいけど、「老眼鏡」って品名がよくない「視力補助鏡」とか
    「見えるんです♪」とか、なんか良い品名ないですかね?

    なので「老眼鏡」は買いたくないんで「ルーペ」持ち歩いてます♪

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    1. 團長、つい先日、百円ショップで何気なく手にした老眼鏡にハマりました。
      もともと本読む時はメガネしてたんですよ、ここ数年。
      それが、2万円ぐらいのオーダーメガネより、100円。

      もう10個ぐらい買ってありまして、仕事場、キッチン、書斎、
      そこら中に置いてあります。探す手間が省けていいですよ。

      「見えるんです」ワロタやないですか!
      もう部長並みのハイセンス、好きですよ。
      ルーペですか。微細な観察をなさっておられるようで、重畳。
      おいらは遠い山並み眺めて、こころを清めますわ。

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